YAMAHA の T-7 は、クラスで言うと中級クラスであり、「
オーディオ的に途轍もない性能を発揮する」
訳でもないが、かと言って 「
オークションで何年も売れずにグルグル回っているだけの機種」
とは全く縁のない、言わば 「あまり誰にも教えたくない」 種類の機種。
その詳細は、
BLUESS さんがトラブルシューティングから調整方法、そしてその魅力を語って下さっていますので、ここではその補足程度に。
(短所)
(1)
オートチューニング機構が動作しない故障が多い。
→パスコンの劣化による電源電圧低下。今回の T-7 では LC7200 の不良と判断し、遠回り。
(2)
電源 ON/OFF 用スイッチが機構的・電気的に弱い。
→トランスの二次側を信号用 SW で ON/OFF するために電流が比較的多く流れ、接点の不純物が炭化しやすい。
(3)
不良(電解液の漏出が主)が多発する電解コンデンサ。
→電解コンの不良はよくあることだが、T-7 では 100uF/16V を中心として50%程度の確率で容量抜けが発生。特に青紫のものは全交換が望ましい。
(長所)
(1)
オートチューニング機構が人間臭くて愛らしい。
「パン! ゴロゴロゴロ パン!」といかにもローテクっぽい音を出して、チカチカ光りながらチューニングする様は、思わず「頑張れ!」と言ってしまう(笑)。
(2)
メインテナンスがし易い。
底板が完全に外れ、二階建て基板も無いので基板へのアクセスが非常に楽。
(3)
音楽性に優れ聞き疲れない音質。
楽器の特徴を忠実に出す一方、リバーブがよく聞こえるため、音場感がよく出る。 聞いていて疲れない。
(今回のメインテナンス)
大元は、オートチューニング機構の動作不良の原因探し。
結果的に不良電解コンの一掃とその結果の比較となった。
部品交換
電源部
C230 33uF/16V→100uF/35V
C193 3.3uF/50V→10uF/50V
C252 10uF/25V→100uF/35V
C251 10uF/25V→100uF/35V
信号系
C195 10uF/25V→47uF/35V:Discriminator から MPX、AF 段までのパスコン
C101 100uF/16V→100uF/35V:フロントエンド用パスコン
C167 100uF/16V→100uF/35V (リード線が腐食のため交換)
C218 47uF/16V→47uF/16V: LC7200 の VDD のパスコン
結果
まず、LC7200 のパスコンを交換したところでオートチューニング機構の動作が復活! 結局、LC7200 の不良ではなく、パスコン不良による動作電圧低下が原因。そして、
音質が見違えるほど向上!
実は、これまで 「霧が掛かった様な音場感」 を感じていたが、霧がすっかり晴れた上に定位感と低音の量感が増し、これまで以上に T-7 に愛着が。
さて、次はどの部品交換を・・・。
[2回]
PR
COMMENT