長いこと超狭帯域FMアンテナの実現方法とFMチューナのノイズ問題の解決方法を考えてきて、やっと結論に達した。
(背景)
バラン、コモンモードフィルタ、ガルバニックアイソレータは
ほぼ同じものを目的に応じて呼び方を変えているだけだ、という点。
バラン:
大きくVoltage BalunとCurrent Balunに分けられ、平衡・不平衡変換を目的とする。Voltage Balunはインピーダンス変換 (RFトランス) も同時に行うことができる。
コモンモードフィルタ:
同相電流をキャンセルする目的に使用され、インピーダンス変換を目的としていないため結局Current Balunと同じ。
ガルバニックアイソレータ:
グランドループを切ることにより、ノイズを低減させることが目的で、絶縁型のVoltage Balunと同じ。
(超狭帯域アンテナ使用のチューナに求められる仕様)
(1) 16:1(75/6.9)のインピーダンス変換を行いたい。
(2) アンテナ、AC電源からのコモンモードノイズを減らしたい。
(3) FM放送周波数帯以外からの妨害電波を減らしたい。
(4) グランドループを切りたい。
(仕様を満たすための問題点)
・1/12λウェーブトランスフォーマが複雑。
・VHF/UHF帯のバランの製作記事が無い(送信電力に耐えられるVHF/UHF帯用のコアが無い)。
・小信号のVHF用の1:nのバランが入手困難。
(辿りついた対応策)
・フィルタ付きACインレットへの交換
・FM帯用のバンドパスフィルタを挿入
・1:16の小信号用バラン(RFトランスフォーマ)によるグランドループの切断、コモンモードノイズの低減、インピーダンスの変換
75Ωフィーダを使用した1/12λウェーブトランスフォーマで得られるインピーダンス値が、75/nの2乗)Ωであることに気が付いたのがブレークスルーだった。
75Ω:2パラ=75Ω:18.75Ω=4:1
75Ω:3パラ=75Ω:8.3Ω=9:1
75Ω:4パラ=75Ω:4.69Ω=16:1
これなら、Voltage Balunで実現できる。
(使用部品)
(1) ACインレット:汎用品
(2) 1:16の小信号用バラン:
Mini-Circuits, ADT16-1T+
(1:16 CORE & WIRE Transformer, 1.5 - 160 MHz, 50Ω)
→AliExpressで購入できることが判明。
(3) BPF:
双信電機, GF JB3 SE
→大進無線やAmazonでもFM用BPFが売られているが、高価。
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