(これまでの経緯と考察)
FM 用のアンテナとして、ヘンテナ、フォールデッドダイポール、J-Pole、MLA
と色々いじってきてみて、ぼんやりと感じていたことがやはり当たっていることが分かった。
(1) 300Ωフィーダなどの
細い線を使用するとだめ (Folded Dipole、J-Pole で使用)
(2) 平衡アンテナを同軸で給電するには、バランを使用しないとアンテナの正確な特性が分からず、何を実験しているか分からなくなる。
(3) できれば、Q が大きい方が受信信号の品位が高くなる確率が高くなる。 しかし、Q が高いアンテナはゲインが低い (またはマイナス) ため、弱電界では実用的でない。
(1):アンテナの種類による違いではなく、恐らく表皮効果が顕著に現われて放射効率 (入射効率?) が悪くなっているのだろう。
FM チューナー付属のいわゆる T 型アンテナ (
インピーダンスがアンマッチ*1) はこの部類に入る。
本来放射抵抗が約 75Ωのアンテナ(ダイポール)を、
高々 1mm の細線でアンテナとフィーダ (
インピーダンス不明*1) を構成し、300Ω端子に接続しているのだ。
*1: 仮にこのフィーダのインピーダンスが 150Ω であり、フィーダ部分の長さが目的周波数に対し 1/4λ + 1/2λ x n になっているとすれば正しい。 これは、Q マッチによる整合と見ると、75Ω/300Ω の整合が取れていることになる。 解説は
ここ。 さすがモガミ電線。
強度も理由ではあるが、メーカの八木宇田アンテナのラジエータ (Folded Dipole) 部分のパイプの太さは、放射効率向上のためでもある。
300Ωのフィーダで FM 帯域用フォールデッドダイポールを作り、300Ω平衡/75Ω不平衡のバラン経由で給電したが、ダメ。 結局 FM チューナー付属の T 型アンテナより安定度が若干ましなだけ。
(2):周囲の状況に影響されて動作が不安定。 準導体 (=人間) や金属の影響を強く受ける上に、指向性がぐちゃぐちゃ。
(3):改めて思い出すのは、
アンテナはスカート特性が緩やかなバンドパスフィルタ (整数倍の高調波には同調するが) であるということ。 だから、FM 局ごとに同調し、Q が大きくかつ高ゲインのアンテナがあるとすれば、理想。
(今回の製作)
初心に戻るため、構造がシンプルなダイポールを直径 4mm のアルミパイプ 900mm x 2 で製作。 4mm も十分な直径とは思えないが、実験の容易性から選択。
このダイポールをシュペルトップバラン付きの75Ωケーブルで適当に鴨居にぶら下げてみて、驚き。
確かに信号強度は良いとはいえないが、
何故か音質が良いのだ!
これは、市販のアルミパイプ製 4 エレメント八木のフォールデッドダイポール部分を単独で使用した時と同じ印象。
アンテナの材質で音質が変化しているという訳ではなく、
・表皮効果による効率低下が少ない
・平衡/不平衡の変換が完全 (同軸表皮に電流が流れない)
・SWRが低い (=インピーダンスマッチングが取れている)
ということにより、8 の字特性が綺麗で、不要な電波やノイズの影響を受けにくく、IMD が悪くならないからだろう。
前述した Q の高い指向性アンテナの基本形がダイポールということになる。
(将来の方向)
ダイポールのスタック
FM 用 MLA のスタック?(同調型。指向性は?)
トラップ付き八木のスタック?(トラップ付き=共振型=高 Q だが、VHF 用アンテナとして実用的なのか?)
[1回]
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