
震災では命こそ大丈夫だったものの、ヒータ用の灯油も車のガソリンも無いため、暖房の無い部屋で 3 週間ひっそり暮らしてきた。
サブスピーカが 2m も離れた位置までぶっ飛んでいた以外は、オーディオ関係のダメージは無くて一安心したが、未だに音楽を長時間聴く気が起きない。
地震直前に落札した SONY ST-5000F がやっと届いたので、これで心のリハビリでも・・・。
(入手時の状態)
1971年で 10 万近いので、今に換算するととても買えないような価格。この年はラジカセを初めて買ってもらって喜んでいた時期なので、このような超高級機があったこと自体も知らなかった。
前オーナの取り扱いが丁寧だったのだろう、外観は非常に綺麗。とても 40 年前のものとは思えない。
削り出しのつまみの角が立っていて、新鮮。
「電源が入りません」 という説明だったが、電源が入らないのではなく、スケールのランプが暗いだけ(笑)。 問題なく音は出た。
チューニングを行うと、中から「キーキー」とダイアル用コードが軋む音。
ピークで歪むような感じがするが、ギターの胴鳴りが良く聞こえる。
(部品交換)
電解コンすべてを交換する必要があるが、今回は手持ちでできる部分のみ。

MPX基板: C511 (100uF/25V), C520 (100uF/25V) → 双方とも 220uF/35V に交換。
電源基板: C602 (220uF/50V) → 330uF/50V に交換。
(調整)
電源電圧調整 (12V/24V)
フロントエンドのLC (L101~L104, CT101~CT105)、IFT (IFT101) の調整。結果的にずれなし。
バンドの上側で若干表示ずれがあったので OSC のトリマコンデンサ (CT105) にて調整。
セパレーション (R537) を聴感で調整。
感度はこの時代の製品としては驚くほど良い。
ダイアルコードの鳴きは、取り回しを調整して解決。
(音質)
電解コン交換後のエージングも終わっていないし大きな期待はしていないが、低音が強調され、高音がストンと切れたような周波数特性。
ベースラインが良く聞こえ、ギターの胴鳴り、ピアノのスケール感が良く出る。
しかし、倍音の抜けが悪く、音場や楽器の実体が見渡せない。
レシオ検波の良い所は出ているが、部品の劣化によるものと思われる歪感が気になる。
これからの部品交換 (Tr/C/VR) による変化が楽しみ。
(サービスマニュアル)
ここ。
[10回]
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